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憲法記念日を迎えるにあたっての会長声明
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本日、日本国憲法の施行から77年目の憲法記念日を迎えた。
第二次世界大戦を経験した私たちは、二度と戦争の惨禍を引き起こさないためにも、個人の尊厳を究極の価値とし、これを守るために、立憲主義のもと、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義を基本原則とした日本国憲法を制定した。
しかし、2014(平成26)年7月1日に国民の議論を経ることなく、集団的自衛権行使容認の閣議決定がされ、それ以降も、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記した安保三文書の閣議決定、従前の防衛装備移転三原則の運用指針を改正し殺傷能力の高い次期戦闘機の輸出を認める閣議決定がされた。これまで私たちが築いてきた平和国家としての理念を内閣(行政)によって覆される危機的事態が起きている。かかる政策は平和主義のみならず、立憲主義や国民主権を蔑ろにするものである。
さて、本年は、基本的人権のうち、特に法の下の平等(憲法14条1項)について、改めて深く考える年としたい。2024(令和6)年3月14日、札幌高等裁判所は、民法などが同性のカップルの結婚を認めず、これに代わるものがないことが法の下の平等を規定する憲法に違反すると判断した。同年5月には、障害などを理由とする旧優生保護法(1948(昭和23)年〜1996(平成8)年)下での強制不妊手術に対する国家賠償訴訟について、最高裁での弁論が開かれる。
私たちは、日本国憲法下でも、法の下の平等が実現されずに困難を抱えている方がいることを再認識し、この不平等を取り除き、平等権を実現させることが必要である。
2023(令和5)年6月には、栃木県日光市において、日本で初めての開催となるG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が行われた。同会合では、「我々は、完全なジェンダー平等を達成するために努力するとともに、ジェンダー、性別、年齢、民族、障害、性的指向、ジェンダーアイデンティティ、性表現など交差する特性を考慮しながら、あらゆる多様性を持つ女性と女児をさらにエンパワーすることにコミットする。」などとする声明(日光声明)がなされた。同声明が一過性のものにならず、同性カップル婚の立法措置を始めとする法の下の平等に向けて、後押しとなることを切に願っている。
当弁護士会は、憲法記念日を迎えるにあたり、改めて日本国憲法の恒久平和主義の堅持を宣言するとともに、基本的人権の擁護、社会正義の実現に向けて積極的な活動をしていく決意であることを表明する。
2024(令和6)年5月3日
栃木県弁護士会
会長 石井信行