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憲法記念日を迎えるにあたっての会長声明
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本日,1947(昭和22)年5月3日に日本国憲法が施行されてから74回目の憲法記念日を迎えた。
日本国憲法は,個人の尊厳を蔑ろにし,多大な犠牲をもたらした太平洋戦争に対する反省に基づき制定されたものである。そのため,立憲主義のもと,個人の尊厳を最大の価値とし,基本的人権の尊重,国民主権,恒久平和主義を基本原理としている。
ところで,新型コロナウイルスの感染拡大は収束することなく,猛威を振るっている。そのような中で,我々は様々な活動が制限されている。そのため,収入源が断たれ経済的苦境に立たされ,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)が脅かされる状況が生じている。また,医療従事者や感染者,その家族に対する誹謗中傷といった個人の尊厳を脅かす事態も生じている。
一方,近時を振り返ると,法治主義や三権分立に抵触する東京高等検察庁検事長の定年延長及び検察庁法改正問題,学問の自由を脅かす日本学術会議会員の任命拒否問題,男女共同参画社会の実現の取組に逆行する東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の性差別発言問題など,日本国憲法の基本理念に反する問題が発生した。
国民の個人の尊厳や基本的人権が脅かされることが今後も続くことが予想され,また日本国憲法の基本理念を揺るがす事態が今後も発生するおそれがある。
当会は,日本国憲法のもと,基本的人権の擁護と社会正義の実現のため,これまでも様々な法的サービスを提供し,また日本国憲法に抵触するおそれのある政策等に対して意見を表明してきた。そして,未曾有の国難が続く中,当会は日本国憲法の基本理念が堅持され,個人の尊厳が守られるよう,なお一層活動を継続していくことを決意する。
2021(令和3)年5月3日
栃木県弁護士会 会長 横堀 太郎