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平成30年度司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明
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法曹志願者はここ数年大きく減少しており,新司法試験制度導入後の新司法試験受験者数は,最も多かった2011年度(平成23年度)が8765人であり,2015年度(平成27年度)にも8016人であったのが,2016年度(平成28年度)は6899人(前年度比1117人減),昨年度は5967人(同973人減)となり,本年度は5238人(同729人減)にまで落ち込んだ。まさに急激な減少に歯止めがかからない状況と言ってよい。
一方,政府の法曹養成制度改革推進会議は,2015年(平成27年)6月30日,「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ)」において,司法試験合格者数を年間1500人程度は輩出されるよう必要な取組を進めるとの提言を行った(以下,「推進会議提言」という。)。2015年度(平成27年度)は1850人であった司法試験合格者数が,2016年度(平成28年度)には1583人となったのは,同提言を取り入れたものと推察される。
しかし,受験者数が急減しているにもかかわらず,推進会議提言に従って1500人程度の合格者数を維持するとすれば,合格率は上昇することとなるが,それは合格者の合格水準が低下することを意味することとなる。推進会議提言は,司法試験合格者数を1500人程度輩出されることを求めつつも,輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものではない,ともしていることを看過してはならない。司法は,国民の権利擁護や社会正義を守る任務を負うものであり,その司法を担う法曹の質の維持・向上は,国民にとっても重大な課題・要請である。法曹の質は可能な限り高く確保されなければならない。
このような観点から,当会は,昨年7月27日,「平成29年度司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明」を発し,昨年度司法試験の合格判定にあたっては,1500人程度とされる合格者数の維持のみが優先されるべきでなく,司法を担う法曹の質の維持・向上の要請を踏まえた厳正な判定が行われることを求めた。
しかるに,昨年度の合格者数は1543人に及んだところであるが,前述のとおり,本年度の受験者数はさらに大きく減少しており,推進会議提言に従って1500人程度の合格者数を維持するとすれば,法曹の質の確保に対する懸念が益々高まることになる。
よって,当会は,昨年度に続いて,本年度司法試験に厳正な合格判定が行われることを求めるものである。
2018年(平成30年)7月19日
栃木県弁護士会
会 長 増 子 孝 徳