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最低賃金の大幅な引き上げを求める会長声明
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中央最低賃金審議会は,本年7月頃,厚生労働大臣に対し,平成30年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行う予定である。
昨年,同審議会は全国加重平均25円の引上げ(全国加重平均848円)を答申し,これに基づき各地の地域別最低賃金審議会において地域別最低賃金額が決定された。栃木県の引き上げ額は25円であり,最低賃金時間額は775円から800円に改定された。
栃木県における最低賃金時間額800円という水準では,1日8時間,週40時間働いたとしても,月収約13万8000円,年収約166万円にしかならず,さらに税金,社会保険料等が控除されるのであるから,この金額では労働者が賃金だけで自らの生活を維持していくことは困難である。
我が国の貧困率は依然として15.6パーセントと高止まりであり,貧困と格差の拡大は性別や世代を問わず深刻化している。働いているにもかかわらず貧困状態にある者の多数は,最低賃金付近での労働を余儀なくされており,最低賃金の低さが貧困状態からの脱出を阻む大きな要因となっている。
2010年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」では,2020年までに「全国平均1000円」にするという目標を定めているが,この目標を達成するためには,大幅な引上げが必要である。
したがって,中央最低賃金審議会は,地域別最低賃金額改定の目安を大幅に引き上げることによって,地方最低賃金審議会が決定する地域別最低賃金の大幅な引き上げを促し,労働者の健康で文化的な生活を確保するとともに,これにより地域経済の健全な発展を促すべきである。
栃木県最低賃金審議会においても,中央最低賃金審議会の示す目安額にこだわらず,最低賃金額の大幅な引き上げを図り,労働者の健康で文化的な生活を確保するとともに,地域経済の健全な発展を促すべきである。
2018年(平成30年)5月17日
栃木県弁護士会
会長 増子孝徳