栃木県弁護士会からのお知らせ

安保法制改正法案の強行採決に強く抗議し,同法の廃止を求める会長声明

 平成27年9月19日,参議院本会議において,国際平和支援法案及び平和安全法制整備法案(以下「本法案」という)が強行採決された。栃木県弁護士会は,この暴挙に強く抗議する。
 本法案は,集団的自衛権の行使を可能とすることで,自衛隊が集団的自衛権の名のもとに海外へ武器を持って出かけ,アメリカ軍その他の軍隊と一体となって戦闘行為に加担することを容認するものである。すなわち,本法案は,自国の防衛という範囲を大きく超えて武力の行使を可能にするものであり,憲法9条が定めた戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認の平和主義を根底から覆すものであるため,明らかに憲法9条に違反する。多くの憲法学者や歴代内閣法制局長だけでなく,元最高裁長官も「集団的自衛権の行使を認める立法は違憲だと言わざるを得ない」と述べている。また,本法案は,解釈によって憲法9条2項改正と同様の結果を得ようとしているものであるので,憲法96条1項を潜脱し立憲主義を否定するものである。
 先月23日に栃木県弁護士会主催の本法案反対のパレードが開催されたが,全国各地でもこのような反対運動が数多く開催されていることからしても,老若男女問わず多くの国民が本法案に懸念を示していることは明白である。
 にもかかわらず,政府は,このような国民が示していた懸念の声に全く耳を傾けることなく,衆議院に引き続いて参議院における採決を強行したものであるから,民主主義を根底から破壊し,我が国の憲政史上に重大な禍根を残したと言うべきである。
 栃木県弁護士会は,本法案の成立に断固として抗議するものであり,改めて法律の廃止を求めるものである。

 2015年9月28日

栃木県弁護士会
会 長   若 狭 昌 稔