栃木県弁護士会からのお知らせ

労働者派遣法改正案に反対する会長声明

1 政府は,平成27年3月13日,「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(以下「本改正案」という。)」を閣議決定し,国会に上程した。当会は,以下の理由により,これに強く反対する。

2 本改正案は,\賁脾横橋伴錣砲茲覿菠を廃止すること,¬鬼雇用の派遣労働者について,業務にかかわらず派遣期間の制限を撤廃すること,M期雇用の派遣労働者について,同一の組織単位における同一の派遣労働者の派遣期間の上限を3年としつつも,派遣先が3年毎に過半数労働組合から意見を聴取しさえすれば,仮に反対意見が多数であっても,同一の事業所においてその後も継続して派遣労働者を利用できること,つまり,同一の事業所において派遣労働者を入れ換えることにより,永続的に派遣労働を利用することを可能にするというものである。

3 昭和60年に労働者派遣法が制定されたときには,対象となる業務が通訳やソフトウェアの開発など専門的知識が必要な13業務に限られていたが,その後規制緩和の名の下に改正が繰り返され,平成8年に26業務に,平成15年には製造業の派遣も認め専門性の有無に関わらず一般的なものに広げられてきた。これまでは専門業務にのみ3年を超える無期限の派遣労働を認めてきたが,本改正案が成立すれば,製造業も含めて一般的業務にまでこれが広がる。

4 本法案には,厚生労働大臣は,労働者派遣事業に係るこの法律の規定の運用に当たっては,派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとの規定が付け加えられているものの,結局,派遣労働の規制緩和の最終地点となる完全自由化を認めるに等しいものであって,この改正案が成立したときには,直接雇用から労働者派遣に雇用形態の移行が進み,派遣労働が臨時的・一時的な労働力の需給調整ではなく一般的な就労形態となり,派遣労働者のみならず労働者全体の雇用と生活を不安定にさせる危険性がある。しかも政府は,平成26年の通常国会と臨時国会で2度廃案となった改正案を,その内容自体はほとんど変更せずに再度国会に上程したのである。

5 当会は,派遣労働を極力限定すべきであることを,平成21年6月25日の「労働者派遣法の抜本的改正を求める会長声明」や平成26年4月24日の「労働者派遣法一部改正案に反対する会長声明」等において,繰り返し述べてきた。それにもかかわらず,2度の廃案を経てもなお本改正案を国会に上程したことを到底看過することができない。
 よって,当会は,本改正案に強く反対する。

2015年(平成27年)5月14日
栃木県弁護士会
会長 若狭 昌稔