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集団的自衛権行使の容認に反対する会長声明
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集団的自衛権とは、政府によれば、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」のことをいう。ここでいう「武力攻撃」には、単に当該国の領土に対する攻撃のみならず、当該国の領域外にある軍隊に対する攻撃も含まれる余地があるため、その範囲は広範囲にわたる余地がある。
日本国憲法は、第9条で戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を規定し、さらに前文では平和的生存権を確認し、第13条では幸福追求権を定めている。かかる日本国憲法のもと、自衛権を行使するには、第1に我が国に対する急迫不正の侵害があること、第2にこれを排除するために他に適当な手段がないこと、第3に必要最小限度の実力行使にとどめることを要件とし、集団的自衛権の行使は第1の要件を欠き認められないとの立場を政府は一貫して取ってきた。
しかし、現在の政府は、2013年8月、山本庸幸内閣法制局長官を更迭し、集団的自衛権の行使容認に前向きとされる小松一郎駐仏大使を後任の長官に任命した。そして、安倍首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から集団的自衛権の行使を限定的に容認する報告書が提出される予定である。また、政府は、集団的自衛権の行使を前提とした国家安全保障基本法を成立させようとする動きも見せている。このように、政府は、集団的自衛権に対するこれまでの見解を変更し、その行使を容認し、実質的に憲法を改正する動きを見せている。
戦争は人権侵害・環境破壊の最たるものである。これまで集団的自衛権を根拠としてなされた武力行使のほとんどが濫用であったとの指摘もある。かかる集団的自衛権の行使を容認することは、我が国が最大の人権侵害・環境破壊である戦争を行う道を開くものである。したがって、我が国において、集団的自衛権の行使を容認することは、平和主義、基本的人権の尊重という憲法の基本原則から到底許されるものではない。
加えて、集団的自衛権の行使を容認しようとする近時の政府の動きは、解釈若しくは憲法の下位法である法律によって実質的に憲法改正を行うものである。かかる動きは、法の支配、立憲主義を無視する、看過できない暴挙であるといわざるをえない。
よって、当会は、日本国憲法を法律や解釈によって実質的に改正しようとする政府の動きに対し強く反対し、憲法の基本原則に則った国政が運営されることを強く求めるものである。2014年(平成26年)3月27日
栃木県弁護士会
会 長 橋 本 賢二郎