栃木県弁護士会からのお知らせ

代理人弁護士に対する暴力行為に関する抗議声明

 平成24年5月22日、福岡県弁護士会に所属する弁護士が、受任していた事件の相手方からナイフで切りかかられ、頭部等打撲、両手指切創等の傷害を負う犯罪が発生した。
 
 当会においても、平成24年6月14日から同月15日の間、当会所属弁護士の事務所に脅迫文が投函されるという脅迫事件が発生した。
 
 脅迫文を投函したのは、妻との間で訴訟となった夫であり、上記弁護士は妻の代理人となっていた。
 
 脅迫文は弁護士宛で、関係者が血の海になることを覚悟の上強制執行してほしい、今の段階で警察に連絡しておけ、予定殺人である等のことが記載されていた。
 
 犯人がいかなる動機で犯行に出たのかは今後の捜査によって明らかになると思われるが、暴力をもって紛争の解決を図ることは、法治国家の基盤を根底から覆す行為であり、いかなる理由があるにせよ断じて許されるものではない。特に、当会において発生した事件は、既に裁判所の判決が出ていた事案で、判決結果を無視しての犯行であり、法的手続を無視して脅迫に及ぶ行為は極めて悪質といえる。
 
 福岡県の事例は弁護士業務に関連した暴力であり、当会における事例は弁護士業務そのものに対する脅迫である。これらの犯行は、単に弁護士の業務に対する加害行為というにとどまらず、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、また代理人業務を通して個人の権利の実現を保障しようとする弁護士活動への妨害であって、法治国家の司法制度に対する侵害行為として非難されなければならない。
 
 当会は、いかなる暴力行為に対しても決してひるむことなく毅然として対処し、国民の正当な権利を擁護するため全力をもって弁護士の使命を全うしていく決意であることをここに表明する。

2012年(平成24年)6月20日
栃木県弁護士会
会 長 蓬 田 勝 美