栃木県弁護士会からのお知らせ

政府提出の入管法改正案に反対し,廃案を求める会長声明

2021年4月22日
栃木県弁護士会会長 横堀太郎


 今期通常国会において,「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(以下,「入管法改正案」という。) 」が提出され,現在衆議院で審議がなされている。
 入管法改正案は,「収容・送還に関する専門部会」による「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言(以下,「提言」という。)」を前提として作成されたものである。
 「提言」は,‘駝映定申請中の送還停止効に例外を設け,∩還忌避罪,F亡罪の新設を提言する一方,長期収容の温床となる事前の司法審査の欠如や無期限収容についての改善が提言されておらず,当会としても令和2年10月29日付で反対の意見書を発出している。しかしながら,入管法改正案においても上記の問題点について改善が見られないばかりか,同法案においてはじめて具体化したご突措置制度も現行の仮放免制度を厳格にした内容であるところ,被収容者の収容からの解放を困難にするものであることから,到底容認できる内容ではない。
 したがって,当会としては上記意見書に引き続き,以下のとおり入管法改正案に対する意見を表明するものである。
 そもそも,入管収容施設における長期収容等の問題は,日本経済が超過滞在者も含む外国人労働者によって支えられている状況の中で,外国人労働者の受入を求める中小企業の要望に対し,抜本的な問題解決のための措置をとることなく,技能実習制度や留学生受入の緩和等の小手先の施策によって矛盾を助長してきた政府の入管政策に起因するものである。入管法の改正に当たっては,事前の司法審査の導入や,無期限収容の廃止,家族の不分離,条約難民の適切な認定保護等の国際人権法の要請に正面から応え,入管施策を抜本的に改善する必要がある。
 それにもかかわらず,。害麑椣聞澆瞭駝映定申請の送還停止効の原則解除及び退去強制忌避罪の新設は,特に生命や自由が脅かされかねない場所への送還を禁止する国際法上のノン・ルフールマン原則の遵守を危機に陥れるものであり,難民申請者や在留特別許可を求める外国人の手続保障を侵害するおそれがある。また,被収容者の拘禁からの解放の推進には2省免者逃亡罪のような罰則の新設ではなく,長期的な身柄解放を前提とした仮放免に変わる制度創設が望ましい。ご突措置制度は,この点,監理人に過剰な負担を強いて弁護士や支援者による活動を萎縮させるばかりでなく,主任審査官による監理人の選定要件が不明確であり,現行の仮放免制度以上に過酷な制度となっている。
 また,政府は,今回の入管法改正について,送還忌避者がいることにより送還が困難になっており,このままでは重大犯罪者やテロリストなどの送還も困難になることを理由としているが,統計上退去強制令書を受けた人たちのうち95%以上が退去していることからすれば,政府が主張するような事例は極めて少数であり,立法事実が希薄である。
 入管法改正案は,「提言」における問題点の解決が図られず,国際人権法の水準を満たさない内容であることから,強く反対し,その廃案を求める。
以上