栃木県弁護士会からのお知らせ

裁判所法の一部を改正する法律(修習給付金支給)に対する会長声明

 このたび裁判所法の一部改正法案(以下「本改正」という。)が衆議院及び参議院で可決され、第71期司法修習生以降、修習給付金として、基本給付金が月額13万5000円、住居給付金が月額3万5000円、移転給付金として最高裁判所が定める額の支給がなされる運びとなった。本改正は、司法修習生に対する経済的支援の実現への大きな一歩というべきであり、ここ数年来の法曹志望者の激減に歯止めをかける、一つの誘引となるべきものとして素直に評価したい。そして、本改正にあたっては、与野党を問わず多くの国会議員からの賛同をいただき、大きな助力を得たことによって実現されたものであることから、衆議院、参議院の議員の皆様に対しては、深い感謝と敬意を心から申し上げる。
 しかし、当会は本改正を基本的に評価するも、法務委員会の審議でも問題となったとおり、次の点において不十分といわざるを得ない。
 すなわち、修習給付金は第71期以降の司法修習生に対する手当であるところ、本改正は、給費制が廃止された第65期司法修習生から第70期司法修習生までの貸与制の世代(以下「貸与制世代」という。)に対する措置を何も行っていない。貸与制世代の人数は、全法曹の約4分の1の割合となる約1万1000人にも及んでいるが、貸与制世代が本改正の恩典を受けられないのであれば、司法修習期がいつであったかという偶然により、これだけ多くの者が不公平を甘受し続けなければならないことになる。貸与制世代はすでに法曹となっている者がほとんどであるが、第71期司法修習生と同じく、学部とそれに続く法科大学院の授業料、生活費の負担により、未だに多額の借金を背負っている場合が多い。経済的支援を行う必要性が高いという意味において、両者を区別をすべき合理的理由は見出しがたい。貸与制世代の貸与金の返還は、2018年夏から順に開始されることから、なるべく早い時期に貸与制世代に対しても、法改正の趣旨を及ぼすことができるよう、さらなる手だてが講ぜられるべきである。
 当会は、2015年5月23日の総会において、同趣旨の決議を行ったものであるが、改めて貸与制世代に対する貸与金の返還義務の免除その他相当な経済的支援の実施を求めるものである。

2017年(平成29年)4月20日
栃木県弁護士会
会長 近 藤 峰 明