栃木県弁護士会からのお知らせ

宇都宮中央警察署における被留置者の所持金横領事件に対する会長声明

 宇都宮中央警察署留置管理課長の警察官が,平成28年8月中旬に,同課事務室で保管していた被留置者の所持金15万円を横領した事実で,栃木県警察本部は同警察官を懲戒免職処分にした旨の新聞報道が同年10月15日付でなされた。
 逮捕勾留等される者が留置される留置施設においては,被留置者は自己の所有する現金であっても自分で管理することができず,法律により強制的に所持を警察に移管され,留置業務管理者が所有者に代わって管理するものとされている(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律194条2項2号)。したがって,留置業務管理者が職務上管理する被留置者の現金を横領することは,警察官が警察権力を悪用して国民の財産権を侵奪するものであり,かかる行為は,金額の多少にかかわらず,権利侵害の態様が悪質であるから,許されるものではない。
 また,このような事件が発生した背景には,留置業務管理者がこのような行為に及ぶことを防止するための制度が十分に機能していなかったことがあると言わざるを得ない。
 よって,当会は,栃木県警察に対し,本件を栃木県警察全体のものとして重く受け止め,本件を当該警察官の単なる個人的な問題として終わらせることなく,事件発生を防止できなかった原因を徹底的に解明し,速やかに再発防止の対策を講じられるよう求めるとともに,併せて本件の原因及び対策の詳細を国民に対し明らかにすることを求めるものである。
以 上

2016年(平成28年)11月24日
栃木県弁護士会  
会長 室井 淳男